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守屋 耕一; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 森泉 純*; 山澤 弘実*; 平井 敬三*
no journal, ,
土壌有機炭素(SOC)は陸域生態系の中で最大の炭素リザーバーであり、その分解によるCO放出は大気中CO濃度に大きく影響するため、SOCの分解プロセスを理解することは重要な課題である。本研究では、土壌の長期間培養と放射性炭素同位体分析を組合せることで、SOCを平均滞留時間(MRT)別に三つのプール(Active, Slow, Resistant)に分割した。その結果、MRTが1年未満のActiveプールは全SOCプールの1%程度、MRTが1年以上100年未満のSlowプールは20-50%であった。Slowプール及びResistantプールのMRTは土壌の深さとともに増加しており、土壌深部ほど分解抵抗性が高いことを示唆していた。しかしながら、SOC分解の温度感度はMRTの増加とともに増加していることが明らかになった。これらの結果は、土壌に存在する有機物は、その分解性に依存して温度感度が異なることを示しており、現在のSOC分解の様態は、将来の温暖化に伴って大きく変化することを示唆している。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 石塚 成宏*; 角野 貴信*; 守屋 耕一*; 中西 貴宏
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土壌有機物中の放射性炭素(C)は、放射壊変や過去の大気圏核実験による大気中濃度の増加とその後の減少を反映した分布を示すことから、土壌有機物の滞留時間(分解性の指標)を推定するトレーサーとして有用である。われわれは、国内の植生や土壌特性の異なる森林土壌のC同位体分析を通して土壌有機物の分解性を定量化し、土壌に貯留する炭素が将来の温暖化に伴ってどのように放出されうるかを解明しようと試みている。本発表では、土壌有機物の動態解明におけるCのトレーサー利用例及び得られた結果について紹介する。
坂本 愛; 田中 孝幸; 乙坂 重嘉
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本研究は、2009年8月から2011年7月にかけて茨城県久慈川の河口域において4回の現場観測と2回の擬似現場観測、2回の室内実験を行い、河口域における溶存有機物(DOM)の挙動を支配する因子について議論した。溶存有機炭素(DOC)の濃度は、1.00.1(12月)-1.90.2(6月)mgC/lで、日周変化より季節変化(夏高,冬低)が大きかった。その要因として、夏は気温の上昇で生物の活動が活発になり、生物由来のDOMの供給が大きくなるためと考えられる。DOCが持つCは、-60140(8月)-19681(6月)‰の値を示し、有意な日周変化が観測され、DOMを構成するend-member(自生性,外来性)の割合が時々刻々と変化していることが示唆された。室内実験により、河床堆積物に付着する生物の活性時には、温度,照度,UV-B強度,濁度を変えても、直上水中のDOC濃度に有意な変化が起こらず、一方、DOMの質には変化が起こることを確認した。これより、河口域ではend-memberの異なるDOMの選択的な供給・消失により、DOC濃度を維持しつつ、その特性を大きく変化させていることが示唆された。
石丸 恒存; 國分 陽子; 松原 章浩; 安江 健一; 道家 涼介; 西澤 章光*; 大脇 好夫*; 西尾 智博*
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日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、平成9年3月に導入したタンデム型加速器質量分析装置JAEA-AMS-TONOを用いて、炭素-14(C)のルーチン測定及びベリリウム-10(Be)の測定技術の整備を進めている。また、C測定においては、平成18年度より施設供用を開始し、機構内の利用だけでなく、外部機関からの試料の受け入れも行っている。本発表では、施設の概要及び近年の利用状況として施設供用利用の現状並びに機構内利用の研究例について報告する。平成22年度には、Cのルーチン測定に加え、Beの測定技術の整備を本格的に開始したため、Be測定によるマシンタイムが増加した。また、C測定の測定試料数は計520試料であり、うち87試料が施設供用による4課題の外部研究であった。機構内の利用研究では、これまで高レベル放射性廃棄物の地層処分にかかわる基盤研究の一環として、地層や地下水などを対象にC年代を求める地球科学に関する研究をおもに進めた。
松原 章浩; 西澤 章光*; 國分 陽子; 石丸 恒存
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日本原子力研究開発機構、東濃地科学センターでは、地球・環境科学の利用に向け、タンデム型加速器質量分析装置(NEC製15SDH-2ペレトロン最大電圧:5.0MV)におけるBe測定技術の整備を進めている。発表では、Be測定において妨害原子となるBの分別,標準試料及び実試料を用いた試験測定について報告する。
甲 昭二; 木下 尚喜; 田中 孝幸; 桑原 潤; 関 武雄
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日本原子力研究開発機構青森研究開発センターに設置されているタンデトロン加速器質量分析装置(JAEA-AMS-MUTSU; High Voltage Engineering Europa製Model 4130-AMS)は1997年に導入され、放射性炭素(C/C)及び放射性ヨウ素(I/I)の同位体比測定を定常的に行っている。2011年3月、加速タンクの開放整備中に東日本大震災が発生したが、幸いにもAMSは無事であった。本発表では、2010年度から2011年度9月までの運転や維持管理状況等について報告するとともに今後の予定や課題についても報告する。
桑原 潤; 田中 孝幸; 甲 昭二; 木下 尚喜; 関 武雄
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青森研究開発センターに設置されているタンデトロン加速器質量分析装置(JAEA-AMS-MUTSU)によるI/I同位体比の測定においては、福島第一原子力発電所事故による放射性物質の放出に伴う環境中ヨウ素同位体の分布を把握する目的で、各種試料の測定の増加が予想される。JAEA-AMS-MUTSUのヨウ素測定時のバックグラウンドレベルについてヨウ化銀鉱を測定することで検討を行った。試料中にヨウ素が存在しない状態の測定でも60分あたり約11カウントのIバックグラウンドが存在することがわかった。I/I同位体比が高い試料の測定で、メモリー効果によるバックグラウンドレベル上昇を低減するため、総カウント数に制限を設けることについて検討した。同位体比の高い試料については、総カウント数に制限を設けても測定結果はほとんど影響を受けないことがわかった。